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顧客自身による選択が価値を高める  
 


 

 

 

顧客はその商品を自分が選んだと思う場合により高い価値を感じるとされている。

従って同じものを買っても、棚に複数の類似商品がある店で購入した場合の満足感は、一種類しかない店で買った場合に比べて高いということになる。

その理由はこうである。顧客には基本的に行動の自由を担保したいという欲求があり、選択はその欲求を満たす。更に、人には自分の行動を正当化したいという気持ちがあり、選択は正しかったと思いたい。そこで、その製品の良さを他の製品との比較の中で見出し、そこに価値観を認めて安心するわけである。

反対に、一種類しかない店で購入した場合は、止む無く買ったという気持ちが残り、自由が束縛されたと感じる。更に、もっと他によいものがあったかもしれないという疑念がその製品のネガティブな要素を際立たせることがある。

従って、例えば商品の色のバリエーションなどは大変重要である。仮に売れ筋が特定の色に偏るとしても、いくつかの選択肢を持たせることに意味がある。多少性能を変えて数グレードを用意することもこれに当たる。ただし、結局売れ筋が一番コストパフォーマンスが良いように設定しないと、買ったはよいがどことなく後悔感が顧客残ることになり、逆効果となる可能性もあるので注意が必要だ(注1)

また、選択肢としては、どちらもそれなりに魅力的なオプションが用意されているとより効果的だ。つまり、A、Bのうち誰が見てもBだという選択では選んだということにならない。また、似たような製品でも購入者にとってカテゴリーが違うと判断された場合には比較もされず、そのため選択したことにはならない。例えばフルーツジュースが飲みたいと感じた客にとって、オレンジとグレープフルーツは楽しく選べるが、コーヒーとオレンジシュースしかない場合には「選択させられた」と感じてしまう。このカテゴリー概念の問題は大変重要である(注2)

最後に、選択対象は製品の根本的なところにかかわらないようにすることが重要である。例えば、車で色は気に入ったが、その色のグレードにはABSがついていない、といったケースに直面すると、どちらの車を買ってもどことなく不満が残るに違いない。どちらも顧客にとって重要な要素だからである。 これが例えば気に入った色にはついていない車体の特別ロゴがスターダードの色にはついている、といった程度のものであれば、客にとって楽しく価値のある選択になる。

(注1)例えば普及価格帯のテレビなのに関わらず、画質が明らかに違う製品が両方販売されるようなケース。

(注2)例えばハイオクガソリンはエンジン洗浄剤入りだが、レギュラーには入っていないようなケースでは、価格のためレギュラーしか買えない人がエンジンの汚れをイメージしてどこかに心残りを抱くはずである。この場合には、両方とも洗浄剤を入れるが多少グレードをつけるなどの工夫が必要だろう。