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希少性と価値  
 


 

 

 

価値に関わる最も強力なファクターと呼べるのが希少性です。希少なものと感じることで人は商品の価値を信じられないぐらいに引き上げることがあります。

最も典型的なのは絵画でしょう。絵画の効用は様々ですが(鑑賞の楽しみ、装飾になる等)、その価値を最後に決めるのは本物かどうかです。どんなに似ていても偽者はガラクタであるし、複写品も同等の効用は果たせるはず ですが価格は大変安 くなります。

ところで、希少性というのは、「結果として希少になる」ことが多いものです。つまり、当時は誰も見向きもしなかったものが、百年たって価値が見直され、しかも残存点数が少ない 、こんな場合に人々は争って手に入れようとします。

現代においては、多くの商品・サービスは、誰もがいつでもどこでも手に入れられる供給体制を敷いています。それが消費者のためになるという価値観があるためです。松下の「水道哲学」はまさにそれを理想の状態としていま した。

しかし、マーケティングが高度に発達するにつれ、希少性をうまくコントロールすることが関心の対象となってきまきした。例えばハーレー・ダビッドソンのオートバイは数ヶ月から場合によっては一年待たなくては買えないことすらあります。元々HD社は意図的にそのようにした のではありません。過去に生産過剰で倒産寸前になったことがあり、設備拡充の投資に慎重だったのが本当のところです。ところが、需要に足りない程度の生産を維持することが購入者の満足度を更に高めているらしい と判明し、結果としてそれをうまく利用しているのです。

人は、もう手に入らない、あるいは他の人に買われてしまう、という状況に置かれると途端にその商品が良いものに見えてくるという性質があります。手に入れるという自由が束縛されることを嫌うからだ、と心理学は説明 しています。それをマーケティングに応用していきたい、という発想が出てきているのです。

伝統的な例としては、期間限定、地域限定、あるいは数量限定販売というのがありました。これらは商品テストや販促キャンペーンなどを行う際、在庫リスクを小さくしながらできるので重宝されてきました。しかし、最近ではカバーされる範囲が広くなり、カスタマイズという手法も一般化しつつあります。これは車などで買う人が好きな色を指定したり、オリジナルのデザインを使ったりできるものです。これによってその人だけの希少な製品という位置づけを狙っているのです。