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注目の発言 鈴木 敏文 イトーヨーカドーグループ代表 仮説と検証 | CACAO TOWN | ||
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世の中が大きく変化し続けるからこそ我々は常に仮説を立てることが必要なのだが、お客様の心理が変わるからこそ商売が成り立つという意味もある。そして経営においては、お客様の心理の変化を情報としてとらえ、その変化に対応できる体制をどう作るかが重要になる。 ・・・・気をつけなければならないのは、「お客さまのために」ではなく「お客様の立場で」考えるという点だ。「お客様のために」というのは、まず自分たちの売り手の立場があって、自分たちが対応できる範囲でお客様のために何かをするということだ。 <Think! 2004 Autumn号> ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 仮説と検証という概念がビジネスマンの間でここまで普及したのは鈴木氏の功績に負うところが大きい。そもそもセブンイレブンの設立自体がそうなのだが、鈴木氏は社内社外を問わず反対論が渦巻く中で自らの仮説を信じ、新たな世界を切り開いていった。 かつてセブンイレブンの強みはPOSシステムの導入による商品構成の適正化、すなわち売れ筋商品への集中であると解説されていた時期があった。しかし鈴木氏はこれを強く否定し、仮説・検証の弛まなき継続こそがセブンイレブンの強みだと言う。有名な「単品管理」はこの信念に基づくものである。店員は昨日の売れ行きをそのまま明日の品揃えに反映するような単純作業は決して許されず、天気や近所のイベントなどを踏まえ、一品一品の売れ行きを想像しながら発注することが求められる。たかがミルク一本にどこまで洞察を込められるか、そこに店員のチャレンジがあり、それがパートタイムであっても仕事の喜びにつながるのだと言う。 上記の鈴木氏の発言の中で注目されるのは、顧客の心理が変わるからこそビジネスが成り立つ面がある、との指摘だ。その意味するところは以下のようなことであろう。すなわち客はお金を2つの側面から使っている。第一は生活に必要な支出として、第二は自分の満足のために。そして付加価値というのは当然ながら後者に宿りやすい。前者の場合は消費者はある意味渋々お金を使うのであり、支出は少なければ少ないほど良いと認識されるからだ。 客は「あれいいな」と感じる時に奮発する気になる。しかし、そう感じてもらうのは簡単なことではない。TPOで感覚は変化するし、流行もある。また一度感動しても同じものに2度感動することは稀である。そういう意味では先回りして能動的な対応をしていかない限りは思うような利益を客は許してくれないのである。 もう一つ印象的なのは、「お客のために」ではだめ、という発言である。心理学でも出てくるが、客の満足度は自分で選んだ感覚がある場合に高くなると言われており、お仕着せでは満足感を引き出すのは難しい。また、あくまで企業の立場から考えていくと、見えないところで企業の論理や価値観が商品に反映されてしまう恐れがある。そのため鈴木氏は客の立場に立つ、ということを繰返し強調するのだが、客の立場といっても様々であり、自分の経験からだけでは把握は難しい。そこで仮説が登場するわけである。明日の消費者の心理などというものはいかに統計をとっても取りきれるものではなく、また、企業のアクションによって変化するものである。その意味で仮説構築と提案の能力を磨いていくのが王道である、という鈴木氏の慧眼に深くうなずけるものがある。
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