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掲載内容一覧

 

Books 堀 紘一 これから5年 かしこい頭の使い方 CACAO TOWN
 


 

 

 

力のこもったメッセージに富むこの本は、20台のフレッシュマンだけでなく、ビジネス人生について葛藤を抱える30台、40台のビジネスマンにも自分を振り返るきっかけを与えてくれると思う。

超有名人の堀氏であるが、私などテレビで時折拝見する程度だったので、その人となり、ビジネススタイルを知らない方にはその点でも興味深いだろう。

さて、本書は従来の日本的システムが限界に来ていることを訴え、独自の組織改革案を提唱しているが、それを論じるだけでなく、自らの事業で実証しようとしているところに堀氏の男気が感じられる。特に、以下のような主張には骨太な一貫性が感じられる

  • 経営者は高額の給与が支払える会社を目指せ
  • 失敗を積極的に評価せよ
  • 能力主義と成果主義を区別し、能力主義にこそ力を注げ

すなわち、これからの時代にも人を育てることが最も大切である、という姿勢である。ただし、それは従来のように新卒を採用して年功序列システムの中で囲い込んで行うのではない。中途採用を積極的に行いながら大局的なものの見方ができる人材を育てる経営をしていく。育った時点で外に出ていくのは構わない、しかしやはりそこに残って働きたいと思う、そんな会社をつくれというのである。こういう会社を目指すことによって社員のモチベーションが上がるというわけだ。この点については私も全く賛同する。

一方、私には堀氏が描いている従来の日本のシステムというのは、もうどこにも存在していないとも感じる。年功序列で定年まで安泰だと思っている社員ももういなければ、在籍年数で先行する人を追い抜くことができないような昇進システムも破綻している。給与の社内格差も開く一方であり、それらを批判してみてももう始まらないのではないか。むしろ今は形ばかり欧米流への傾斜が進み、しかし業績やモチベーションが伴わず現場が混乱を極めているというのがより正確な現状認識でないかと感じる。従って、近々訪れるであろう成果主義の反動に備えどのように準備をしておくべきなのか、がもっと論じられる必要があるように思われる。

金は不幸を減らすが幸せは作らない

この本は会社のあり方だけでなく、ビジネスパーソンとして個人が志すべき点についても多くのページを割いている。その中で次のメッセージは重要である。

すなわち、金よりも大事なものは信頼であり、時間あり、そしてチャレンジ精神である。

堀氏によれば、金は後で挽回可能だが、失った時間や信頼は回復できない。ビジネスパーソンとして大成すれば金は後からついてくるので、優先度を金以外のところに置け、となる。また、金は不便を解消し不幸を減らすが決して幸福はもたらさない、と言う。

金については私は堀氏ほど縁が(これまで)ないので断言しかねるが、かなり正しいと感じる。そして、信用がそれほどまでに重要なのだという主張には思わず身を正してしまった。とかく我々は目先のことに対して自分をいかに調整するかで汲々としている。そして上司や周囲の悪口や愚痴をこぼしては自分を慰めているわけだが、果たして自分が人に信用される行動をとっているか、その点に思いを寄せることが大切であると感じた。